闘争する境界
復帰後世代の沖縄からの報告
知念ウシ 與儀秀武 後田多敦 桃原一彦 著
PR誌「未来」誌上にて現在も続く好評連載「沖縄からの報告」の、二〇一〇年から二〇一二年までの二年間のレポートを一冊に収録。基地移転問題をはじめ、ケヴィン・メアの沖縄に対する暴言や沖縄防衛局長(当時)の「これから犯す前に犯しますよと言いますか」といった発言をめぐり、そのときどきに渦巻いた沖縄からの反応をとりあげる。各執筆者の多様な視点による沖縄の「いま」が見えてくる。
まえがき
第一部
知念ウシ
「基地は本土へ返そう」
「本土へ移してください」
普天間基地の軍開き
猫と本と植民地主義
與儀秀武
「逆格差論」を考える
日本と沖縄との齟齬
沖縄と東アジア
沖縄知事選の意味
後田多敦
いまも続く「シュガーローフの戦い」
骨が伝える六十五年目の沖縄戦
徴兵忌避と日本政治の忌避――本部事件から百年
山之口貘文庫と沖縄県立図書館
第二部
知念ウシ
お正月に家出した
極私的沖縄連休の過ごし方
普天間の空・普天間の大地は私たちのもの
世界のウチナーンチュ大会
與儀秀武
流通しない紙幣
共同体の可能性
平時のユートピア
「復帰」という視差
桃原一彦
震災後の軍隊とメアの水脈
引き剥がされた影とテクストの誘惑
「民主主義」と「沖縄問題」のフォーマット
コザ暴動という不安定な経路の可能性
あとがき
知念ウシ(ちねん・うし) 66年生。むぬかちゃー(ライター)。著書に『ウシがゆく―植民地主義を探検し、私をさがす旅』、共著に『人類館』『あなたは戦争で死ねますか』『植民者』など。
與儀秀武(よぎ・ひでたけ) 73年生。文化批評。論文に「沖縄と日本国憲法」(「情況」二〇〇八年五月号)など。
後田多敦(しいただ・あつし) 62年生。「うるまネシア」編集委員。著書に『琉球の国家祭祀制度』。
桃原一彦(とうばる・かずひこ) 68年生。沖縄国際大学総合文化学部。社会学、ポストコロニアル研究。著書に『「観光立県主義」と植民地都市の「野蛮性」』ほか。