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琉球共和社会憲法の潜勢力
群島・アジア・越境の思想
川満信一 仲里効 編
1981年の「新沖縄文学」に発表された川満信一氏による「琉球共和社会憲法C私(試)案」は、幻想と裏切りに終わった沖縄の「本土復帰」後十年の歴史と実態を踏まえて発想された、ユートピア精神にあふれる憲法案であるが、昨今の改憲案にみられる危険な方向性にたいして強烈なアンチを突きつける平和志向を内実とする琉球共和社会の実現をめざすものであり、琉球内外十二人の論客が「川満憲法」の現代性と可能性をあらためて問い直す緊迫の問題提起!
第一部 原点から、架橋と越境
川満信一 琉球共和社会憲法C私(試)案
川満信一 琉球共和社会憲法私案の経緯――共和国と共和社会はどう違うのか
平恒次・川満信一 対談:近代国家終えんへの道標
孫 歌 リアリズムのユートピア――川満信一「琉球共和社会憲法C私(試)案」を読む
仲里 効 ノモスの消失点、到来する共同体――「死者的視点」から「異場の思想」まで
第二部 アリーナで、交差と交響
丸川哲史 「孤島苦」と「流動苦」――「琉球共和社会憲法私案」の根拠と可能性
大田静男 疲れた口笛
大田昌秀 琉球共和社会憲法私(試)案について思う
山城博治 沖縄・再び戦場の島にさせないために――沖縄基地問題の現状とこれからの闘い
第三部 未来へ、潜像と顕像
上村忠男 川満信一さんへ――「琉球共和社会憲法 C私(試)案」をめぐって
中村隆之 琉球共和社会研究会
今福龍太 群島響和社会〈平行〉憲法 断章
高良 勉 数多くの憲法私案を([付録]琉球共和社会ネットワーク型連邦・憲法私案)
〈編者略歴〉
川満信一(かわみつしんいち)
1932年、沖縄県生まれ。琉球大学国文学科卒、国文学専攻。詩、評論。沖縄タイムス記者、「新沖縄文学」編集責任、個人誌「カオスの貌」主宰。著書に『川満信一詩集』(1972年、オリジナル企画)、『沖縄・根からの問い』(1978年、泰流社)、『沖縄・自立と共生の思想』(1987年、海風社)ほか。
仲里効(なかざといさお)
1947年、沖縄南大東島生まれ。法政大学卒。雑誌「EDGE」編集長を経て、映像・文化批評家。著書に『ラウンド・ボーダー』(2002年、APO)、『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』(2007年)、『フォトネシア』(2009年)、『悲しき亜言語帯』(2012年、以上未來社)ほか。