シランフーナー(知らんふり)の暴力
知念ウシ政治発言集
知念ウシ 著
「復帰」40年を迎え、いぜんとして相対立する基地問題や米兵暴行事件などをかかえさせられる沖縄で、基地反対運動をはじめさまざまな問題に積極的に参加するとともに、日本政府の対沖縄政策、基地対策の無責任や拙劣さにたいして一貫して厳しい批判的論陣を張り、それに意識的無意識的に同調する日本人(ヤマトゥンチュ)の沖縄への無理解、無知、さらには事態の本質を知ろうとしないあるいは、知らないふりをすること(シランフーナー)の暴力性を暴き出す。『ウシがゆく』につぐ政治論集。著者の思考の原点を示すエッセイ等とともに最近の主要な発言を収録。
第一部 知らないふりは暴力であり、攻撃である
沖縄の米軍基地へ核査察を
基地の「平等負担」
アメリカで在沖米軍基地の日本「本土」お引き取り論を語る
「県外移設」と「琉球独立」
「無意識の植民地主義」を意識することから始めよう
――脱植民地化にむけて 沖縄からの実践報告と提案
わたしの天皇体験
空洞の埋まる日
「人類館」は続いている
「日本復帰」体制四〇年で見えてきたこと
「復帰思想」のゆらぎ――二〇一〇年をふりかえって
ヤレーヌーヤガ――「メア差別発言」を撃つ
前島夜塾
いつまでもあると思うな「復帰五〇年」
米・日と対等な主体として
第二部 沖縄で生まれ、沖縄で生きる
祖母と幻想
だけど「愛」は泣いている
「沖縄」と「日本」を越える――解放できない意識を見つめて
だけど愛は泣いている
沖縄の「日本復帰」後に育つということ
日常生活のなかの軍事主義――ソウル国際平和会議報告
イラク攻撃が始まった
カリフォルニア日記2003
沖縄人のまなざし
祖母の目
沖縄に来る人
日本国憲法改正案
沖縄で子どもを育てる
生きてみるととっても大きい
植民地解放教育
ある春の日々2008――植民地主義との小さなたたかい
琉球語をとりもどす
未来をつくる実践
シマクトゥバで考える戦世
すべてはうごめく「今」から――「琉球新報」紙面批評
あとがき
知念ウシ(ちにん・うしぃ)
1966年、沖縄県沖縄市首里生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科、東京大学法学部私法学科卒。国際関係論・沖縄近代史専攻。むぬかちゃー(ライター)。著書に『ウシがゆく』(沖縄タイムス社)、共著に『闘争する境界――復帰後世代の沖縄からの報告』(未來社)ほか。