大岡信とことばの詩学
野沢啓 著
定価: 本体2,800円+税 ISBN: 978-4-624-60126-3 発行日: 2025年8月8日
『季刊 未来』誌好評連載を再構成した第一部に既発表の論考8本をあわせて収録した本格的な大岡信論。若いころからことばの問題に深い関心と先見的な理解を示した大岡信のことばへの意識を中心に論及し、現代詩の本質としての「ことばの詩学」を解明しようとする力作。『言語隠喩論』の知見をもとに大岡信とはほんとうはどんな詩人だったのかを、これまでの誰も論じえなかった視点から切り込んていく批評する歓び!
生まれ変わってもピアニスト
山根弥生子自叙伝
山根弥生子 著
定価: 本体2,400円+税 ISBN: 978-4-624-71104-7 発行日: 2025年3月17日
『ベートーヴェン研究』(1976年、鳥居賞〔現サントリー学芸賞の前身〕を受賞)で知られる音楽評論家の山根銀二(1906-1982)を父にもち、幼少期から音楽的環境のなかに育った著者は戦前・戦中の苦難を乗り越え、18歳でパリ国立音楽院へ留学し、チューリッヒ、ベルリン、モスクワなどにも留学し、腕をみがく。1960年に帰国して本格的に日本デビューを果たしたあとは、国内外で多くの演奏旅行、レコード録音などをおこなう。妹比奈子はソプラノ歌手。本書はそうした長い経歴をさまざまなエピソードをまじえながら書き記した自叙伝。日本の音楽史の一面を鮮やかに語りつくしている。
思考することば
大岡信 著 / 野沢啓 編・解説
定価: 本体2,400円+税 ISBN: 978-4-624-93453-8 発行日: 2024年9月10日
日本の古典文学論をはじめ現代詩の世界でも詩と詩論によって中心となって活動し、晩年は『折々の歌』などで啓蒙的な役割もはたした大岡信は、若いときから戦後詩の主流だった鮎川信夫をはじめとする『荒地』派世代の主導する詩のありかたに疑義を呈し、みずからの同世代を感受性の王国の世代として称揚し、活発な詩論活動を展開して広い意味での戦後詩をリードした。その活動の初期において「ことば」そのものの創造性をめぐって本質的な問題点を提起したが、時代に先んじすぎていたためか、その深い洞察が広く理解されることなく終わった。その大岡の珠玉のことばへの洞察を集録して生前の大岡の問題意識を継承しようとするコンパクトな一冊。