HOME >> 大岡信とことばの詩学
大岡信とことばの詩学
野沢啓 著
『季刊 未来』誌好評連載を再構成した第一部に既発表の論考8本をあわせて収録した本格的な大岡信論。若いころからことばの問題に深い関心と先見的な理解を示した大岡信のことばへの意識を中心に論及し、現代詩の本質としての「ことばの詩学」を解明しようとする力作。『言語隠喩論』の知見をもとに大岡信とはほんとうはどんな詩人だったのかを、これまでの誰も論じえなかった視点から切り込んていく批評する歓び!
第一部 大岡信とことばの詩学
0 はじめに――言語と共同体
1 ことばが詩を書くという逆説
2 詩はことばが先行するものでなけれはならない
3 詩は意識によって統御されてはならない
4 大岡詩論の歴史的現在
5 大岡信の〈社会性〉
6 〈感受性の祝祭〉とは何か
7 古典詩歌の世界からの再出発
8 『古今集』仮名序の現代的意味
9 小林秀雄の言語理解から「てにをは」論へ
10 ことばが詩になること
11 大岡信と「てにをは」
12「てにをは」の意味するもの
13 「てにをは」の創造性
14 (間奏曲)文学のイニシエーション
15 スタイルという問題
16 『詩とはなにか』とは何か
17 多様性と批判精神
18 大岡信の水の思想と反時代的精神
[付論]詩人の責任と使命――『思考することば』解説
第二部 大岡信というカオス
孤独な詩的転換装置――大岡信の詩の原理
他者とのコミュニケーション――大岡信と連詩の問題
見ることの廃絶――初期大岡信の詩法
金太郎飴とことばの力
危機のクリティック──大岡信の戦後詩史論
〈孤心〉の軌跡――大岡信さんへの感謝
大岡信、ことばのエロス
大岡信の批評精神
あとがき
野沢啓(のざわ・けい)
1949年、東京都目黒区生まれ。
東京大学大学院フランス語フランス文学科博士課程中退。フランス文学専攻(マラルメ研究)
詩人、批評家。日本現代詩人会所属。
詩集――
『大いなる帰還』1979年、紫陽社
『影の威嚇』1983年、れんが書房新社
『決意の人』1993年、思潮社
『発熱装置』2019年、思潮社
評論――
『詩の時間、詩という自由』1985年、れんが書房新社
『隠喩的思考』1993年、思潮社
『移動論』1998年、思潮社
『単独者鮎川信夫』2019年、思潮社(第20回日本詩人クラブ詩界賞)
『言語隠喩論』2021年、未來社
『[新版]方法としての戦後詩』2022年、未來社
『ことばという戦慄――言語隠喩論の詩的フィールドワーク』2023年、未來社
『詩的原理の再構築――萩原朔太郎と吉本隆明を超えて』2024年、未來社