精神の自己主張
ティリヒ=クローナー往復書簡1942-1964
フリードリヒ・ヴィルヘルム・グラーフ アルフ・クリストファーセン 編
茂牧人 深井智朗 宮崎直美 訳
シリーズ : 転換期を読む
〔転換期を読む24〕
ナチスからアメリカへ亡命したドイツの神学者パウル・ティリヒと哲学者リヒャルト・クローナー。ナチスの圧政と移住先での辛苦を経験して再開を果たした2人は、互いの友情を確認しあうとともに、生と死をめぐって神学的-哲学的に対話を重ねていく。
近年発見されたティリヒとクローナー、およびその妻たちの往復書簡33通を収録・翻訳。両者の交流・議論の軌跡を示すほか、第1部に書簡編集者の解題、第3部に訳者の解題を配す。
第1部 精神の自己主張――リヒャルト・クローナーとパウル・ティリヒ往復書簡
……フリードリヒ・ヴィルヘルム・グラーフ+アルフ・クリストファーセン
第2部 パウル・ティリヒとリヒャルト・クローナー往復書簡、及び関連文書
関連諸文書
補遺1 リヒャルト・クローナー博士〔を紹介する〕……パウル・ティリヒ
補遺2 生き生きとした理性――アメリカにおける哲学・神学的思想の基礎
……リヒャルト・クローナー
補遺3 リヒャルト・クローナーを記念して……ハンス=ゲオルク・ガダマー
第3部 訳者解題――二人の亡命知識人の精神史的考察……深井智朗
訳者あとがき(茂牧人)
パウル・ティリヒ(Paul Tillich, 1886-1965)
ベルリンなどで哲学と神学を学ぶ。ドレスデン工科大学、フランクフルト大学哲学部教授などを経て、アメリカに亡命、ユニオン神学校教授などを歴任。邦訳に『ティリッヒ著作集』(白水社、1978-80年)ほか。
リヒャルト・クローナー(Richard Kroner, 1884-1974)
ベルリンなどで哲学を学ぶ。ドレスデン工科大学、キール大学教授を経て、アメリカに亡命、ユニオン神学校教授などを歴任。邦訳に『ドイツ観念論の発展 カントからヘーゲルまで』(理想社、1998年- )、『自由と恩寵』(教文館、1991年)ほか。
編者
フリードリヒ・ヴィルヘルム・グラーフ(Friedrich Wilhelm Graf)
1948生まれ。ブッパータルなどで歴史学、神学、哲学を学ぶ。2014年までミュンヒェン大学プロテスタント神学部教授。専門はドイツ近代思想史。著書にFachmenschenfreudschaft. Studien zu Troeltsch und Weber, Berlin: De Gruyter 2014ほか多数。
アルフ・クリストファーセン(Alf Christiphersen)
1968年生まれ。ミュンヒェンで神学を学ぶ。ヴィッテンベルク・エヴァンゲリッシェ・アカデミーの研究員。専門はドイツ宗教思想史。著書にKairos. Protestantische Zeitdeutungkämpfe in der Weimarer Republik, Tübingen: J. C. B. Mohr (Paul Siebeck) 2008(2008年Max Weber Preis受賞)ほか。
訳者略歴
茂 牧人(しげる・まきと)
1958年生まれ。上智大学大学院哲学研究科哲学専攻博士後期課程単位取得満期退学。京都大学大学院文学研究科思想文化学専攻キリスト教学専修より博士号取得。現在、青山学院大学総合文化政策学部教授。専門は近・現代ドイツ哲学、宗教哲学。著書に『ハイデガーと神学』(知泉書館、2011年)ほか。
深井智朗(ふかい・ともあき)
1964年生まれ。アウクスブルク大学哲学・社会学部博士課程修了。Dr. Phil.(アウクスブルク大学)、博士(文学、京都大学)。現在、金城学院大学人間科学部教授。専門はドイツ宗教思想史。著書に『ヴァイマールの聖なる政治的精神』(岩波書店、2012年)ほか。
宮崎直美(みやざき・なおみ)
1985年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、一橋大学大学院社会学研究科博士課程、ウィーン大学プロテスタント神学部在学中。専門は政治思想史。