HOME >> ミケル・バルセロの世界
ミケル・バルセロの世界
形という生命/物質と暴力
小林康夫 著
現代スペイン美術の巨匠ミケル・バルセロは世界的にも知られた大画家だが、なぜか日本ではまだ広く知られていない。この作家と親しい表象文化論専攻の著者が、この作家を生まれ故郷のマジョルカ島やパリを訪ねてその交友を綴り、この作家の作品の魅力をあますところなく語った小誌での小連載をベースに、作家から自由な使用を許されたカラー図版多数を掲載する、本邦初のミケル・バルセロ紹介の書。カラー口絵19枚ほか図版多数収録。
1 ブリーチのポートレート
2 ミケルとの出会い
3 「〈存在〉に取り憑いている《他者たち》」(『眼と精神』について1)
4 「絵画とは美しい暴力である」(パリのアトリエで)
5 〈ものが見える〉という謎(『眼と精神』について2)
6 生命の物質
7 白の絵画/煤の絵画(イヴリーのアトリエで)
8 「絵画は怪物的なのだ」(タジ・マハールモビー・ディック)
9 「拍動をやめない闇の心(臓)のごく間近」(TERRAMARE)
10 「海」と「本」のあいだで
11 「世界の詩的調査を行為する」(『眼と精神』について3)
12 地図そして絵画
13 ライモンドゥス・ルルスあるいは世界の〈物質的起源〉(『眼と精神』について4)
14 アフリカ/水彩画そして陶器
15 ライモンドゥス・ルルスと肉体のイコン
16 「パソ・ドブレ」――ジョゼフ・ナジとともに
17 存在の裂開、火(『眼と精神』について5)
18 絵画の〈野生の歴史〉
19 マジョルカ紀行(1)――豚の燔祭
20 マジョルカ紀行(2)――ミケルの〈絵画の真理〉
21 マジョルカ紀行(3)――画家と母親
22 マジョルカ紀行(4)――作家たちとの協同制作
23 マジョルカ紀行(5)――ヴィラフランカの陶器のアトリエ
24 マジョルカ紀行(6)――パルマ大聖堂
25 ウィーンの春
26 ヒマラヤからの絵葉書
27 ニューヨークの秋――あとがきにかえて
註
ミケル・バルセロ略年譜
小林康夫(こばやしやすお)
1950年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。表象文化論。著書に『存在のカタストロフィー』『歴史のディコンストラクション』『起源と根源』『表象の光学』(未來社)『こころのアポリア』(羽鳥書店)ほか。