金子光晴を読もう
定価:本体2,200円+税
ISBN:978-4-624-60101-0
ISBN[10桁]:4-624-60101-7
発行日:2004年7月20日
判型:四六判並製
ページ:200
Cコード:C0092
野村喜和夫 著
“抵抗とエロスの近代詩人”という旧来の評価をこえて、いま金子光晴を読むことの意味を問う。散文性、身体、メトニミー、セクシュアリティ、アジア、共同体、クレオール、自己、皮膚……といった切り口からあらためて読み直す。金子光晴、その魅力とは何か。「未来」連載を増補・改稿し、単行本化。現代詩の俊才が挑む金子光晴ワールド!
序章 『ねむれ巴里』の一節から
1 金子光晴のアクチュアリティ
2 離群性
3 伝記のおさらい
4 中国人女性の肛門あるいは放射核
第一章 基底としての散文
1 詩を捨てた詩人
2 自伝作者光晴
3 水と散文――『マレー蘭印紀行』をめぐって
4 泥のトポス
第二章 身体の地平へ
1 近代詩批判――「エルヴェルフェルトの首」
2 キリストの変容
3 呼吸とリズム――初期金子光晴
4「海のうわっつら」――メトニミーの場所
第三章 母性棄却を超えて
1 糞尿趣味
2 アブジェクシオンの詩学
3 おぞましい日本の私
4 共生の大地性へ――『女たちへのエレジー』の世界
第四章 南からのプロジェクト
1 ポストコロニアル? クレオール?――金子光晴のアジア
2 「誘惑」と「回帰」の外で――金子光晴のヨーロッパ
3 詩の海洋に向けて――長詩「鮫」読解
4 ノマド的身体――「かへらないことが最善だよ」
終章 自己と皮膚
1 自己という問題系
2 皮膚の発見――『蛾』から『人間の悲劇』へ