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高木仁三郎 反原子力文選
核化学者の市民科学者への道
高木仁三郎 著
佐々木力 編
ジャンル : 社会
反原発の思想家・運動家として知られる高木仁三郎(1938-2000)の反原子力にかんする主要な論考を厳選し、再編集して収載する。高木仁三郎思想のすべてが凝縮された一冊。フクシマに象徴される原発事故を早くから予見し、厳しい警告を発してきた高木さんの思想は、いま読んでもまったく先験的な知見を展開しており、今後も原発問題にたいする明確な指針となりつづけるであろう。佐々木力氏、高木久仁子氏による書き下ろし、西尾漠氏による解題のほか、詳細な著作目録と年表を新たに収録する。
解説的序論 日本戦後学問思想史のなかの高木仁三郎 佐々木力
第一部 原子力技術に批判的にたいする根拠
専門的批判の組織化について
現代科学の超克をめざして――新しく科学を学ぶ諸君へ
「人間の顔を持った」技術を求めて
くらしからみた巨大科学技術
被害者であり、加害者であること――反核の原点を考える
核神話の時代を超えて
科学と軍事技術
プルトニウムと市民のはざまで――一九九七年ライト・ライブリフッド賞受賞スピーチ
第二部 原子力エネルギーについての認識と批判
「原子力社会」への拒否――反原発のもうひとつの側面
原発反対運動のめざすもの――科学技術にかかわる立場から
生活から反核の思想を問う
人間主体の立場から――科学技術立国と私たち
ソフトさとは何か――ソフトパスへの一視点
核エネルギーの解放と制御
現在の計画では地層処分は成立しない
第三部 原子力発電所事故への警告
原発事故はなぜ起こるのか
チェルノブイリ原発事故の波紋
核施設と非常事態――地震対策の検証を中心に
「もんじゅ」事故のあけた穴
「原発事故はなぜくりかえすか」
第四部 新しい自然観の模索
いま自然をどうみるか
感性の危機と自然
自然を保つ人間の責任とは
原子力――地球環境とどう関わるか
エコロジーからコスモロジーへ
環境報道を考える――原子力は環境問題ではないのか
附 論
臓器移植と原子力技術――責任ある科学技術のあり方を問い直す (対談)高木仁三郎+佐々木力
高木仁三郎へのいやがらせ 高木久仁子
高木仁三郎という生き方 高木久仁子
解題・注釈 西尾漠
高木仁三郎全著作目録
年 表
1938年7月18日 群馬県前橋市に生まれる
57年、東京大学理科一類へ入学
61年、日本原子力事業(NAIG)入社、核化学研究室に配属
65年、東京大学原子力核研究所助手
69年、東京都立大学理学部助教授、東京大学より理学博士の学位授与
72年、マックスプランク核物理研究所客員研究員
73年、東京都立大学を退職
75年、原子力資料情報室スタート、専従世話人となる
78年、反原発運動全国連絡会結成に加わる
87年、原子力資料情報室代表
92年、多田謡子反権力人権賞受賞
93年、サンケイ児童出版文化賞「推薦の本」に『マリー・キュリーが考えたこと』が選ばれる
95年、宮澤賢治学会イーハトーブ賞受賞
97年、長崎原爆被爆者手帳の会平和賞受賞、ライト・ライブリフッド賞受賞
98年4月、オールターナティブな科学者を育てる「高木学校」を設立
97年7月、大腸がんが発覚、緊急入院
2000年10月8日、大腸がんで死去
2001年1月9日、遺言により高木仁三郎市民科学基金発足