信と知
たんなる理性の限界における「宗教」の二源泉
ジャック・デリダ 著
湯浅博雄 大西雅一郎 訳
シリーズ : ポイエーシス叢書
〔ポイエーシス叢書68〕
1994年、冷戦後のヨーロッパ世界が、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の三すくみ状況のなかで混迷する時代に突入した政治的・思想的危機を目の前にして哲学者たちがカプリ島に集まった。デリダの提案にもとづいておこなわれた〈宗教〉をめぐる一大コロックでの講演をもとに、その後に大幅加筆された追記(ポスト・スクリプトゥム)とあわせてまとめられた後期デリダの代表的宗教論。今日の宗教を語ることの困難とともに、その問いのもつ不安、共有された気づかいをもとにあらためて〈宗教〉そのものをめぐる問いを通じて、鋭く現代世界を問い直す。晩年につながる一連のデリダ宗教論の出発点であり、冷戦後の現代世界に席捲する原理主義的テロリズムなどを見越した宗教をめぐる今日的課題が予見的に提出されている。
イタリック
ポスト・スクリプトゥム(追伸)