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ピエタ ボードレール
ミシェル・ドゥギー 著
鈴木和彦 訳
シリーズ : ポイエーシス叢書
〔ポイエーシス叢書65〕
現代フランス最高の詩人で批評家のミシェル・ドゥギーが2012年のコレージュ・ド・フランスでのボードレール講義をもとに断章ふうに書き下ろした詩人論。フランス近代の代表的詩人であるボードレールが詩集『悪の華』で問うた詩の「観念の明晰さ」と「希望の力」という問題系を、デリダやバンヴェニストなどを参照しつつ現代世界の諸問題を前にした最新の詩学というかたちで応答した、詩的・哲学的論考。訳者による長篇インタビュー付き。
はじめに
ピエタ ボードレール
悪の華
いまなお、わたしたちのためのボードレー
謎の男と天上の者たち
わたしたちのために……?
読解の矢――詩は射抜く、詩は波打つ、詩は棄教する
二元性
ボードレールのカント思想にふれて
高翔(エレヴァシオン)の原理
倦 怠
マラルメの墓
直観と象徴
象 徴
寓意について
脱信仰の実践
「世界は終わろうとしている」、歴史性、文化
ナダール、「写真」、イメージ
イヴ・ボヌフォワとボードレール
「詩的言語」は存在するか
「隠喩」のもとで、話すことで(みずからを)形象する
想像力が演出する世界のもとで
詩における美しさ
ピエタ ボードレール
ボードレールの詩に「決して間違いはない」と言おう
贈与と詩
[訳者インタビュー]ミシェル・ドゥギー、詩を語る
訳者あとがき
【著者略歴】
ミシェル・ドゥギー(Michel Deguy)
1930年、パリ生まれ。詩人、哲学者。パリ第8大学名誉教授。Po&sie編集長。Les Temps Modernes編集委員。国際哲学コレージュ、作家会館の代表を歴任。アカデミー・フランセーズ詩大賞ほか受賞多数。詩集、哲学書など今日まで出版した著書は40冊以上にのぼる。ハイデガー、ヘルダーリン、ツェランのほか、アメリカ現代詩の翻訳にも携わっている。邦訳に『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』(書肆山田)、『尽き果てることなきものへ――喪をめぐる省察』(松籟社)。共著の邦訳に『崇高とは何か』、『ジラールと悪の問題』(ともに法政大学出版局)。
【訳者略歴】
鈴木和彦(すずきかずひこ)
1986年、静岡生まれ。京都大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程単位取得満期退学。現在、パリ第10大学博士課程。フランス文学。訳書にクリスチャン・ドゥメ『日本のうしろ姿』(水声社)。