田中浩集 第四巻
長谷川如是閑
田中浩 著
シリーズ : 田中浩集
〔第六回配本〕
「国亡びて生活あり」だよ。国が亡びやうが興らうが、生活がそんなものと没交渉に繁昌して行くといふのは心強いよ――
明治・大正・昭和の三代を生きた大ジャーナリストにして、丸山眞男に最も影響を与えた思想家、長谷川如是閑。「戦前日本における最高の思想家、知識人は、長谷川如是閑である」と喝破した著者は、多岐多彩にわたる彼の業績を主要なテーマにしぼって分析を続けてきた。その研究成果の結晶である本巻は、如是閑思想の全体像をあざやかに描き出し、如是閑が戦後日本に托した思いを伝えている。
第一部 長谷川如是閑研究序説――「社会派ジャーナリスト」の誕生
序――普遍的価値の創造を求めて
第一章 長谷川如是閑――思想の軌跡
第二章 国家観――西欧国家原理の受容と同時代史的考察
第三章 ドイツ学批判――イギリス思想とドイツ思想の対比による日本近代史観
第四章 国際政治・アジア観
第五章 言論・思想の自由と大学自治――「森戸事件」から「滝川事件」まで
第六章 ジャーナリズム観――雑誌「我等」の発刊をめぐって
第七章 新聞論
第八章 女性論(フェミニズム論)――男子専制社会における男女の地位をめぐって
補論一 大正デモクラシーとジャーナリスト
補論二 「大阪朝日」の人びと
第二部 評伝
第一章 社会派ジャーナリストへの道
第二章 政治・社会改革と国際平和を求めて
第三章 「批判」の時代と日本ファシズム分析
第四章 戦中・戦後を生き抜いて
補 論 長谷川如是閑の中国認識
田中浩(たなか・ひろし)
1926年佐賀県生まれ、一橋大学名誉教授、聖学院大学大学院教授。政治学・政治思想。本シリーズ収録著作のほか、共訳書にホッブズ『リヴァイアサン』『哲学者と法学徒との対話』、シュミット『政治的なものの概念』『政治神学』など多数。