父ちゃんは写真家
平敷兼七遺作集
平敷兼七 写真
平敷兼七という写真家は、日本のほかの地域にはない独特な歴史と風土ゆえに、撮られ、眼差され続けた沖縄のなかから、1970年前後に登場した沖縄の写真家たちのなかでも、ひときわ個性的な眼をもった表現者として知られる。ひたすら社会の辺縁に生きる女たちや沖縄の島々を訪ね、その陰翳にレンズを向け続けた。2008年の『山羊の肺』で伊奈信男賞を受賞し、写真界に衝撃をもって迎えられたが、その翌年惜しまれながら61歳で病没した。NHK日曜美術館で放映され、改めて平敷の写真の魅力を知らしめた。残された膨大なプリントから新たに編集したもので、無名の人、小さき者、異形の者たちを「影を撮る」ように内側から凝視した、驚くべきオキナワン・ポートレート。解説=仲里効、装幀プラン=石川真生。