劇作家J・M・R・レンツの研究
定価:本体5,600円+税
ISBN:978-4-624-70085-0
ISBN[10桁]:4-624-70085-6
発行日:2002年2月20日
判型:A5
ページ:278
Cコード:C0074
佐藤研一 著
18世紀ドイツにおける「疾風怒濤」の前衛運動を、ゲーテの同時代人として生きたJ・M・R・レンツ(1751-92)の劇世界は、長い間不当に黙殺されてきたが、旧東独の成立直後にブレヒトが「社会批判的リアリスト」として再評価して以来、西欧近代批判の先駆者として、近年再評価の機運が著しい。啓蒙の時代がはらむ矛盾に引き裂かれ、身をもって歴史的結節点を生き、独自の「市民劇」を確立したレンツの、本邦初の本格的な研究。
序説 J・M・R・レンツの基礎的考察
一 研究の視角
二 「疾風怒濤」の土壌──ロシア領リヴォニアとレンツの少年時代
第一篇 風刺と挑発
第一章 民衆娯楽劇の衣装──喜劇『新メノーツァあるいはクンバ国王子タンディの物語』
はしがき
第一節 民衆娯楽劇の伝統
第二節 ルソー的文明社会批判
第三節 人形劇
むすび
第二章 市民的知識人の批判──喜劇『哲学者は友等によって作られる』
はしがき
第一節 市民の奴婢的現実
第二節 「お涙頂戴喜劇」の流行
第三節 痴人の夢
むすび
第三章 風刺的諧謔の精神──喜劇『軍人たち』
はしがき
第一節 軍人劇の流行
第二節 市民批判
第三節 貴族・聖職者批判
第四節 「ほらふき兵士」の伝統
むすび
第二篇 反逆と自虐
第四章 「疾風怒濤」の二人の旗手、ゲーテとレンツ──文壇風刺劇『ドイツの伏魔殿』
はしがき
第一節 ゲーテ作『神々、英雄およびヴィーラント』にみるヘラクレス的精神
第二節 『ドイツの伏魔殿』にみるヘラクレス的精神
第三節 自己風刺の劇
むすび
第五章 反逆としての自己処罰──劇的幻想『イギリス人』一節 近代劇形成の発酵
第二節 叛旗・白日夢・自嘲
第三節 未完成
むすび
注 序説
第一篇
第二篇
第三篇
第四篇
初出一覧
あとがき
J・M・R・レンツ略年譜
J・M・R・レンツ行程図
主要参考文献
索引
独文レジュメ