人類の薄明
表現主義のドキュメント
クルト・ピントゥス 編
松尾早苗 訳・解説
第一次世界大戦後のドイツで前衛的な文学・芸術運動として勃興し、ナチスの擡頭によって弾圧されるまで、大規模な活動を展開した〈表現主義〉の詩人たち、ゴットフリート・ベン、ゲオルク・トラークル、フランツ・ヴェルフェルなど23人の詩270篇あまりを、交響曲の4つの楽章のようにテーマ別に編纂された表現主義の決定版アンソロジー。戦後もポケット版が出されるなど、いまも読みつがれている不朽の名著が訳者長年の研究成果とともに初めて世に問われる。マルク・シャガールやオスカー・ココシュカといった当時の運動に共鳴した画家たちによる詩人19人の肖像デッサン付き。
序文 四十年経って(ニューヨーク・一九五九年夏)/はじめに(ベルリン・一九一九年秋)/残響(ベルリン・一九二二年四月)
詩篇
崩壊と叫び
心よ、目覚めよ
反乱へ立ち上がろう
人間に愛を
詩人と作品――伝記的記録と著作目録
訳者解説――詩集『人類の薄明』について
【訳者略歴】
松尾早苗(まつおさなえ)
ドイツ文学、ドイツ表現主義。三重大学名誉教授。