私が読む源氏物語
文学と時代と人間と
松野由子 著
ベテラン教師が、高校生たち、母親たちとそれぞれの私を重ねて読みすすめた源氏物語。同僚や教え子たちに押しだされて本になったユニークな源氏物語論。
はしがき
はじめに──学級で深めた時代と人間
第一章 摂関政治と桐壷の巻
1「ときめきたまふ(御方)ありけり」
2「よりどころなく心細げなり」
3「玉の男御子さへ生まれたまひぬ」
4「生かまほしきは命なりけり」
5若宮、「内裏にのみ侍ひたまふ」
6「藤壷ときこゆ」
7母恋う少年の切ない想い
第二章 形代物語の出発──若紫の巻
1洛北の春
2たそがれの垣間見
3「かのひとの御かはりに……見ばや」
4明けくれの物思いいやまして
5「現とはおぼえぬ」……罪
6「手に摘みていつしかもみむ」
第三章 誇りたかい二人の女君──葵の巻
1「ひたすらかしこまりて侍ふ」
2「待たるるも心よわしや」
3「物思ふにあくがるなる魂」
4みだるる魂と葵の上の死
5暗い夜明けに 菊のひと枝
6二条の院の女君
7女の歴史の奥深い響き
第四章 宿世の流離物語──須磨・明石の巻
1都おもう須磨の浦波
2沖の舟唄、鳴き渡る雁
3「心ばせある」さまのひと
4宿縁の導き「この浦を去りね」
5待つものはなに──明石の浦へ
6「心くらべ」に明石の日日は
7御心ざしの「近まさり」り上の人やはあるべき」
14それぞれの御賀
15明石の女御に「男御子生まれたまふ」
16明石入道、深山に消える
17柏木、女三の宮を見る
18「猫をだに得てしがな」
19六条院の住吉詣で
20心もとない愛にすがって
21六条院ならではの女楽
22「さはみづからの祈りなりける」
23紫の上、病重く
24「あはれとだにのたまはせば」
25物の怪の語る“女”の執
26女三の宮の懐妊
27「故院も知ろしめしてや」
第八章 罪の報いの物語──柏木の巻
1「空の煙となりぬとも」
2女三の宮に男御子誕生
3「尼になさせたまひてよ」
4泡と消える柏木の死
5汝の父に似ることなかれ
6「ふり捨てがたき鈴虫の声」──鈴虫の巻
第九章 後世を祈る御法の巻
1「後の世に結ぶ契りを」
2紅梅と桜の花に心とどめて
3「かくてこそ貴にらうたげに」
4曙の光に消える萩の上露
5「かしらおろすべきよし」
6ともしびをかざす父と子
7「枯れはつる野辺を憂しとや」
第十章 源氏世界の終焉──幻の巻
1春浅い雪つもる朝
2「わろかりける心の程かな」
3「花は仏の御飾りにてこそ」
4「帰り