世界の壊れ方
時評 二〇〇八~二〇一二年
町田幸彦 著
新聞記者として各国に赴任、時代と人間を見つめてきた著者が、壊れつづける国際社会を語る。国家に翻弄されながらもしたたかに、そして懸命に生きる人々の姿を通して「本質」を問い直す。小社PR誌「未来」好評連載中の「デラシネ備忘録」を単行本化。
グローバリズムの空洞化――アメリカ
戦争のささやき/ミンスキーの預言/国際秩序の迷路/外交調停者の本心/多孔質の核軍縮論/さまよう〈帝国〉/ネットと核兵器/「Gゼロ時代」の米国
幻影を追いかけて――ロシア、旧ソ連
裸の帝国幻想/想像の絆――セルビアとロシア/オセチアの記憶/辺境にされた国/絶対者の笑劇/中央アジアの深謀遠慮/プーチン当選後のロシア
境界の声――ヨーロッパ統合と東欧諸国
マクロ・ナショナリズム/東欧から中欧へ?/欧州の分離主義/神話の辺境化/断章・ルーマニア/一九八九年/流されゆく人々/道化師の哲学/現実を食らう道化/旅路/スラヴィク先生の回想
東方異聞録――北朝鮮、モンゴル、日本
通貨の呪い/モンゴル追想/原子力帝国主義とモンゴル/家郷なきグローバリズム/「マカールの夢」にまどろむ夜
町田幸彦(まちだ・ゆきひこ)
1957年生まれ。元毎日新聞記者。東洋英和女学院大学教授。メディア論・国際関係論。著書に『コソボ紛争――冷戦後の国際秩序の危機』(岩波書店)。