パレスチナ・そこにある日常
高橋美香 著・写真
家族を見守るような眼差しの向こうに、
パレスチナが、人びとが、生き生きと立ち上がってくる。
生き抜くことのせつなさと苦難の果ての希望も。――長倉洋海
戦闘や犠牲の一面だけじゃない。
そこには笑顔も夢もある。
私たちと同じ「生活」がある。
ガザ、エルサレム、ナーブルス、ラマッラー、そしてビリン……
パレスチナに生きる人びとのありのままの日常を伝えるルポルタージュ。
写真カラー&モノクロ95点。
「パラパラ、ピシッピシッという乾いた音が聞こえたのと、お父さんが『伏せろ! 早く!』と絶叫する声が聞こえたのと、ほぼ同時だった。私たちには何が起きたのかよく理解できないまま、あわてて外に駆け出た。お姉ちゃんの泣き声、お父さんの怒鳴り声、いつもは冗談を絶やさない明るいお母さんの青ざめた姿、子どもの恐怖と興奮。(中略)どうして普通の人びとの暮らしを破壊し、無差別にも見えるやり方で殺すイスラエル軍兵士を、テロリストと呼ぶことはないのだろう。」(「ガザ 日常のなかにある不条理」より)
「ポケットから先ほど摘んできた赤い花を出して『ママ、大好きだよ!』とママを抱きしめて頬にキスをするハムディ。照れくさそうに、そして嬉しそうに微笑むママとふたりの姿をカメラに収めた。」(「友として」より)
ママを抱きしめて キスをするハムディ (2010年ビリン) | 旧市街で細々と商売を営み続けてきた 皮革加工職人 (2009年ヘブロン) | 朝起きて大きく伸びをする ヤジード (2010年ビリン) |
※写真はすべて本書より |
終わらないインティファーダ《2000.09/2001.01》
1
エルサレムをふたつの国の首都に!
ヘブロン 入植地と隣り合わせの町
ガザ 八〇万人の難民と三〇万人の地元民
ラファハ 分断された家族
九月一三日
デモ サブラ・シャティーラ難民キャンプへの追悼
2
第二次インティファーダさなかの再訪問
エリコ 中止された巨大プロジェクト
ゴーストタウンと化したヘブロンと活気づくラマッラー
テルアビブへ 繁栄の陰
ベツレヘムへ再び
ガザ 日常のなかにある不条理
「故郷」《2009.06-07》
難民キャンプに暮らす
それぞれの生きる道
ビリン 分離壁と向き合う村
イスラエルでアラブ人として生きるということ
帰るべき場所《2009-2010・冬》
五カ月後
ビリン村へ
再会
父、ハイサム
イスラエル軍の夜間侵入
ハイサムの弔い
親と子
ナーブルスでの再会
妹たち
別れ
カイロでの迷走のはじまり
再び、ビリンへ
友として
ハムディの夢