「ジェンダーと開発」論の形成と展開
経済学のジェンダー化への試み
定価:本体3,800円+税
ISBN:978-4-624-32171-0
ISBN[10桁]:4-624-32171-5
発行日:2005年5月27日
判型:A5判並製
ページ:318
Cコード:C0033
村松安子 著
ボスラップ『経済開発における女性の役割』以後の「女性と開発」「ジェンダーと開発」論の形成・展開過程を検証しながら、「ジェンダー」「エンパワーメント」「ジェンダー主流化」を人間開発実現の鍵概念として確認し、マクロ経済学・経済学にジェンダー視点を取り入れる必要を強調。その導入点として「ジェンダー予算」分析を提起する。経済の転換期がもつジェンダー含意を実証分析した中国・インドネシア・日本の事例研究を収録。
序章 新しい分野としての「ジェンダーと開発」
1 「ジェンダーと開発」のあゆみ
(1) ボズラップから35年
(2) 国連世界女性会議から30年
(3) 「分野別(開発と女性)援助研究会」の発足(1990年)
(4) 国連開発計画『人間開発報告書』(1990年)
(5) 北京会議からの10年
2 「ジェンダーと開発」へのあゆみ
3 新しい分野としての「ジェンダーと開発」
第一章 開発・ジェンダー・エンパワーメント
1 新しいヴィジョンの誕生
(1) 国際社会のヴィジョン作り
(2) 開発発展パラダイムの変化
2 変革の主体としての女性
(1) エンパワーメント
(2) 女性からジェンダーへ
3 ジェンダーとエンパワーメントの視点から開発を考え直す
(1) ジェンダー視点からの開発の代替構想──DAWNのヴィジョン
(2) 開発にお目留ジェンダー・女性の「不可視性」
(3) アフリカの事例
4 フェミニスト経済学者たちの挑戦
第二章 女性と社会開発──理論と政策的課題
はじめに
(1) 社会開発と女性
(2) 新しい世界ヴィジョンと世界女性会議
1 「女性と開発」(WID)から「ジェンダーと開発」(GAD)へ
(1) WIDの成立
(2)実践領域(開発援助・協力)とし第四章 農村転換期における女性──WIDの視点から
はじめに
1 生産的労働の指標
2 時間配分分析
3 技術革新の影響
4 分析の理論的枠組
(1) 概観
(2) 新しい家計の経済学
(3) マルクス主義フェミニズム
おわりに
第五章 マクロ経済政策とジェンダー
はじめに
1 ミクロからメゾ/マクロ段階におけるジェンダー分析へ
(1) ミクロのジェンダー分析
(2) マクロ/メゾ段階のジェンダー分析
2 マクロ経済政策とその成果に現われるジェンダーの非対称性
3 調整過程としてのメゾ段階ではたらく男性バイアス
4 マクロ段階ではたらく男性バイアス
5 ジェンダー統計の必要性と国際協力
第六章 マクロ経済学のジェンダー化を目指すジェンダー予算
1 日本政府のジェンダー平等政策
2 ジェンダー予算とは何か
(1) 「ジェンダー予算」分析とは
(2) なぜジェンダー分析が必要か
(3) ジェンダー主流化の手段としてのジェンダー予算
3 ジェンダー予算分析の展開過程と多様性
(1) ジェンダー予算分析の展開過程──マクロ経済政策のジェンダー化への導入点
(2) 「北京行動綱領」「成果文書」とジェンダー予算
(3) ジェンダー予算モデルの
(5) 労働力の都市化
(6) 農業の役割の低下
(7) 労働力の「公正化」
3 インドネシアの女性政策
(1) 経済計画に明示された女性政策
(2) 女性の役割担当国務大臣室の機能と活動
(3) 女性の役割担当国務大臣室の限界とめざすべき方向
4インドネシアにおける女性学の成立と展開
(1) 大学の教科としての女性学
(2) 女性の役割担当国務大臣室が推進する女性学センターの設立
(3) 大学院教育
5 女性を支援するNGO活動
(1) 限定されるNGOsの活動領域
(2) 3つのタイプのNGOs
第九章 日本の私企業部門における女性の雇用管理──主要企業10社の事例
1 概観
(1) 女性管理職者の現況
(2) 管理職階への高い障害
(3) 研修機会・賃金格差・定年
2 日本の私企業部門における方針・政策決定にかかわる女性たち──主要企業10社の場合
(1) サンプル企業
(2) 情報収集の手順
(3) 対象企業における方針・政策決定にかかわる女性たち
(4) 女性管理職者比率のもっとも高い企業
(5) 女性社員の継続勤務を奨励する企業
(6) 研修と賃金格差
あとがき
初出一覧
付録 ジェンダー予算の分析ツール
引用・参考文献
索引