デモクラシーとコミュニティ
東北アジアの未来を考える
中神康博 愛甲雄一 編
東日本大震災を挟み開催された国際シンポジウムおよび連続講演会「人間の安全保障と東北アジア」の登壇者を中心に編まれた政治・社会学論集。東北アジア情勢の緊迫化と日本における災害復興の現状もふまえ、持続可能な民主的社会とそれを支えるさまざまな共同体のあり方を論じる。
はしがき(加藤節)
序論 デモクラシーとコミュニティ――東北アジアの未来を考える(中神康博・愛甲雄一)
第1部 デモクラシーの課題
「経験」としての3・11(杉田敦)
日本の民主政治、ガヴァナンス、人間の安全保障(ブレンダン・マーク・ハウ著/愛甲雄一訳)
韓国併合一〇〇年を迎えた日本と韓国――脱植民地の課題(徐勝)
第2部 国境の枠組みを超えて
反テロ戦争と原発事故(板垣雄三)
再考・人間の安全保障から見た東北アジアの未来――移民、多様性、地域公共圏(テッサ・モー リス=スズキ著/愛甲雄一訳)
国境の越えさせられ方――メディア文化と越境対話(岩渕功一)
グローバルでもナショナルでもなく――領土・権威・諸権利の新たな集合体(サスキア・サッセン著 /愛甲雄一訳)
第3部 コミュニティの可能性に向けて
資本主義の進化とコミュニティ――アジアにおける持続可能な福祉社会に向けて(広井良典)
「リスク社会」と共同体の未来――韓国社会の自殺現象を中心に(金王培著/高一訳)
中国コミュニティの再建――公益事業の試み(沈潔)
ルソーの政治社会――一般意志が支えるコミュニティ(愛甲雄一)
あとがき(中神康博・愛甲雄一)
編者:中神康博(なかがみ・やすひろ)
成蹊大学アジア太平洋研究センター所長、成蹊大学経済学部教授。都市経済、財政学専攻。共著に『教育の政治経済分析』(シーエーピー出版、2011年)、『経済学の進路』(慶應義塾大学出版会、2004年)。
編者:愛甲雄一(あいこう・ゆういち)
成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員。国際関係論、政治思想史専攻。共著に『デモクラシーとナショナリズム』(未來社、2011年)、共訳書に『平和運動と平和主義の現在』(風行社、2008年)。