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ヨーロッパ法と普遍法
諸世界システムの共存
河上倫逸 著
文化の多様性と等価性を認める真に普遍的な法は成立しうるのか。ローマ法にもとづくヨーロッパ共通法の生成から、近・現代国民国家における社会法学の発展までを振り返りつつ、貨幣と権力を介して世界を席捲した国際法という名の「ヨーロッパ的」規範を批判する法史学論集。1978年より2008年まで30年にわたる研究の成果を集成。
序 章 多神教ヨーロッパと法
一 はじめに――「ヨーロッパ」とは何か
二 歴史的・文明的概念としてのヨーロッパ
三 都市の起源と市民社会
四 学問体系にみるヨーロッパ
五 民間伝承における多神教的世界観
六 国民国家と教会――法の概念をめぐって
第一章 学識法と法教養層
一 ヨーロッパ法史における学識法と法教養層
二 近代ドイツにおける学識法の形成とサヴィニー
三 ヨーロッパにおける学識法の形成と大学
補論 ゲルマンの留学生は南に向かう
第二章 法の歴史社会学のための断章
第三章 自然支配と法技術――目的的社会組織と法人
第四章 ドイツ国民の概念――国籍(国家所属性)と民族所属性
一 近代国民国家の可能性と限界
二 ドイツ国籍法の歴史とナチズムの影
三 ドイツ統一と「過去の清算」
第五章 国際法の歴史から「世界法」の構築へ
序
一 複数の「世界システム」、そのなかでの近代日本の三つの選択肢
二 欧米国際法の形成とその世界支配
三 「発見された住民」の処遇――スペインの論争
四 日本人にとっての国際法
五 諸文明時代の国際法秩序
六 「世界人権宣言」の実質化のために
七 現代に再現されたfundata intentio
結びに代えて
あとがき――世紀を読む