枢機卿ベッラルミーノの手紙
科学思想史への一つの扉
西藤洋 著
キリスト教的宇宙観が大きく揺らぐ17世紀「科学革命」の時代に、聖職者たちはいかにして信仰の世界を護ろうとしたのか。コペルニクスの出版活動に深く関与した神学者オシアンダー、ガリレオの身を慮り説得を試みた枢機卿ベッラルミーノ、ニュートンの理論の綻びを突き動揺を与えた思想家バークリーらの書簡・論考を読み解き、人間の知性のおよびうる限界をめぐって交わされた形而上学的論争を追う。
第一章 《みかけを救う》ということ
第二章 匿名の序文が語りかけるもの
第三章 ベッラルミーノの《手紙》
第四章 ジョージ・バークリーにみる《オッカムの剃刀》
第五章 デュエムの希求
付論一 オッカムにおける信仰と理性
付論二 《たしかな知》と《たしからしい知》
にしふじ・ひろし
1943年東京都生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程中退。現在、成蹊大学経済学部特任教授、経済学説史、科学哲学専攻。共著に『日本経済の展望と課題』(日本経済新聞社)。