ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界
クニッゲ、レッシング、ヘルダー
笠原賢介 著
18世紀ドイツの著作家たちが、非ヨーロッパ世界との接触を通して、それをどのように省察し、作品化し、どのような視点を提示したのか、その背景を探ることが本書の主題である。ここではとりわけレッシングやカント、ヘルダー、クニッゲを中心に論じられるが、科学技術や技術的合理性を手放しで礼賛した楽天的な思想潮流とみなされがちな〈啓蒙〉思想を誤った解釈から救抜し、1960年代以降の思想史的見直しの成果を踏まえ、アドルノやハーバーマスらの新しい解釈を組み込みながら、現代ヨーロッパの原点としての〈啓蒙〉を新たな視点から考察しようとする試みの書である。