秀丸の表示/操作設定についても説明しておこう。細かい問題だが、操作性を高めるうえで無視しえない設定である。役に立つ設定だけに触れておきたい。
まず「その他」メニューから「動作環境」を選択し、左側の「設定の対象」の一覧のなかにある「表示/操作」を選択する。「カーソル移動」の欄で「PageUp/PageDownでスクロールする量」をプルダウンメニューから選択する。通常は1ページを選択すればいいだろう。
次に「表示/操作」設定の左側の「+」をクリックし、「カーソル操作」タブを選択する。ここの「カーソルでスクロールする開始位置」で「上下に余裕を持たせる」にチェックを入れておくと、カーソルが編集画面の上下端に近いところにきたときに、自動的に上下に数行分程度スクロールしてくれる機能である。いちいちスクロールバーを動かして画面を上下させる手間を省くことができる。
さらに「カーソル表示」タブを選択し、「カーソル形状」で「Windows風」または「DOS風」を選択する。Windows風のほうが挿入モードか上書きモードかがわかりやすいのでやや優るが、これは好みの問題だろう。「カーソルの点滅」と「アクティブ直後に巨大化」にはチェックを入れておこう。カーソル位置がわかりやすくなるメリットがある。「マウスカーソルの形」で「矢印」を選択すると、文字の上にきたときに四角い枠で表示してくれるので、この文字が全角なのか半角なのかがすぐわかって意外と便利である。
最後の「リンク」タブではホームページのURLやE-mailアドレスなどをカラー表示設定しているときの操作方法を指定する。これは「その他」から「ファイルタイプ別の設定」の「デザイン」で、ホームページURL、Emailなどのカラー表示がONになっている場合に有効である。「クリックで選択、ダブルクリックで開く」を選択することをお奨めする。
次は秀丸の「検索」にかんする設定で、これはファイル操作を効率よくするうえで大事な設定である。これも基本的な設定はデフォルトのままでいいが、いくつかの重要な設定にかんしてはここで説明しておこう。
まず「その他」メニューから「動作環境」を選択し、左側の「設定の対象」の一覧のなかにある「検索」を選択する。「検索の動作」で「カーソル位置」は「なるべく中央」を選択すると検索結果がファイル画面のほぼ中央に表示されるように画面が繰り上がるので、目の移動が少なくてすむ利点がある。「失敗したとき」は「ビープ音」を選択しておけば無駄が少ない。「メッセージを表示」を選ぶと、わざわざOKボタンを押す手間がかかる。「リアルタイム検索」をONにすると、検索ダイアログボックスの入力中に検索をおこなうのですばやくなる。すなわち検索文字列の入力中に入力されたところからつぎつぎに検索を開始する。これを「インクリメンタルサーチ」と呼ぶ。「カーソル位置の次の文字から検索を開始」はオフにしておけば、検索をファイルの先頭からおこなう。
「置換の動作」では「全置換は常に高速で行う」にチェックを入れておけば、置換の速度向上になる。
次に「検索」設定の左側の「+」をクリックし、「検索ダイアログ」タブを選択する。「検索ダイアログボックス」で「アクティブな秀丸エディタに検索ダイアログも移動する」にチェックを入れると、秀丸エディタで開いている他のファイルも続けて検索できる。
「grep」タブでは「grepのダイアログボックス」で「新タイプ」を選択し、「フォルダ選択」で「エクスプローラ風」を選んでおくことをお奨めする。「grep結果」で「ダブルクリックでタグジャンプする」にチェックを入れておくと、grep結果で開かれたファイルの確認したい行をダブルクリックすると該当するファイルが開かれ該当する行にジャンプする。この効果は抜群である。grepとタグジャンプについては後述する。
最後に「マーク」タブでは「マーク」の「ファイルを閉じる時にマーク一覧をクリアする」はオフにしておかなければならない。これをオンにすると、せっかくマークした一覧がファイルを閉じるときにすべて消去されてしまう。「マーク」についても重要なので、詳しくは後述する。
次に重要な設定は入力と編集にかかわる細かい設定である。これも基本的な設定はデフォルトのままでいいが、いくつかの重要な設定にかんしてはここで説明しておこう。
まず「その他」メニューから「動作環境」を選択し、左側の「設定の対象」の一覧のなかにある「編集」を選択する。「やり直し」で「かな漢字変換もやり直し可能にする」にチェックを入れる。これはいちど入力確定した部分を漢字に再変換できるようにする機能である。確定した直後に「編集」メニューから「やり直し」を選択するか、Ctrl+Zキーで漢字変換のやり直しを実行できるようにする設定である。これはうっかり確定してしまったときに一からやり直すのではなく、変換前の入力状態に戻せるのできわめて便利である。変換直後でなくても、その次に入力した文字列を呼び出せるので、これを「Back space」キーでひとつずつ削除していけば、目標の文字列にまでさかのぼることができる。そのためには「全置換のやり直し」をプルダウンメニューから「一つずつ」を選んでおく必要がある。もっともこの機能も誤って連続置換または全置換してしまった文字列をひとつずつさかのぼって復元していくことができるので、便利である。「まとめて」を選択すれば、全置換したものを一挙に復元することになる。
「コピー&貼り付け」では「『コピー』の後に範囲選択を解除する」にチェックが入っていると、コピー部分をうっかり削除したり上書きしてしまう危険がなくなる。「貼り付け後のカーソル位置」も「最後に移動」になっていれば、ペーストしたあとにすぐつづけて入力作業をおこなうことができる。
次に「編集」設定の左側の「+」をクリックし、「高度な編集1」タブを選択する。ここでは「編集した行の表示方法」のうち「行番号の色を変える」を選択し、「保存したら消す」にチェックを入れる。こうしておけば、修正のあった行の左側の行番号欄に指定した色が付けられる。こうしておけば、修正のある行を探すのに便利である。色の設定は「その他」~「ファイルタイプ別の設定」で指定するが、この点は後述する。「挿入/上書モード」では通常は「挿入モード」を基本としておこう。切り替えが必要なときには「Insert」キーを押すだけで挿入/上書きモードの切り替えが簡単にできる。「入力の補助」では「改行するとき空白だけの行だったら空白を削除する」にチェックを入れておけば、空白の削除の手間が省ける。「範囲選択中にキーを押すとその文字を検索する」にチェックを入れておくと、Ctrl+Fキーで文字検索するときに検索文字列にその文字が自動的に入力されるので便利である。
「高度な編集2」タブでは「ドラッグ&ドロップ編集」で「選択した文字をドラッグ&ドロップしたとき選択範囲を解除する」にチェックを入れておけば、すぐ次の編集作業にうつることができる。
「禁則処理」タブでは、「追い出し」「追い出し+句読点のぶら下げ」「句読点のぶら下げのみ」の三択で、これは好みによる。「追い出し」とは行頭・行末の禁則文字や句読点が行頭または行末にきたときにすべて次行に送ることであり、「追い出し+句読点のぶら下げ」はこのうち句読点が行末にきたときは行末に「ぶら下げる」ことを許容する選択である。原則的にはこの選択が望ましい。なお禁則にはレベルが2種類あり、「ぶら下げ文字」の右側にある「リセット」ボタンで選択できる。通常は「禁則レベル1」でいいだろう。あとは「ワードラップ」「改行文字のぶら下げ」にもチェックを入れておく。「ワードラップ」とは英単語などで文字が行で分かれてしまいそうになったときに、単語ごと次行に追い出すことである。「ぶら下げ幅」は半角で2文字分あたりが適当だろう。
秀丸の「ファイル」設定で他に必要と思われるものを以下でまとめておこう。これは使っているOSの種類や秀丸のヴァージョンによるものもあるので、いちおうの目安としてもらったほうがいいかもしれない。ちなみにわたしのいまの環境はWindows XP、秀丸はv.8.01である。
まず「『開く』のダイアログボックス」では「Windows 2000タイプ」を選択しておこう。いちおう低いヴァージョンのものも選択できるが、Windows 2000以降のOSならこれを選んでおいていいだろう。
つぎに「ファイル」の左側の「+」をクリックし、「ヒストリ」を選択する。「ファイル/フォルダヒストリの表示」で「ファイルヒストリ個数」を最大の20個にする。「ファイル名の表示方法」は「フルパス」にしておく。こうしておけば、「ファイル」メニューの下部に履歴が新しい順に所属するフォルダとともに表示される。ここからファイル選択をして起動することも可能である。
つぎに「エンコード1」で「自動判定で開くとき」の「ファイルの内容を解析してエンコードの種類を自動認識する」にチェックを入れる。これはデフォルトでチェックされており、日本語(Shift-JIS)、日本語(EUC)、日本語(JIS)、Unicode(UTF-8)、Unicode(UTF-7)にチェックが入っているので、必要がなければとくに変更・追加することはない。
「エンコード2」では「開くときのエンコードの種類関連」で「変換できない文字があったとき警告メッセージを表示」と「NULL文字があったとき警告メッセージを表示」にデフォルトでチェックが入っているので、そのまま。「保存するときのエンコードの種類関連」にも「変換できない文字があったとき警告メッセージを表示」がチェックが入っている。Wordなどで特殊な文字を使った原稿をテキスト変換したりするときにこういう現象が起こりがちで、こうした文字は「?」に変換される。Word原稿などでドイツ語やフランス語の特殊文字表記で示された文字がある場合には、その該当箇所にジャンプする機能もあるので、別の表記に変更してしまえば保存することができる。
以上のほかにもいろいろ細かい選択が可能だが、とりあえずデフォルトのままで進めることをお奨めする。
秀丸の「動作環境」設定で重要なもののひとつはファイルのバックアップ保存にかかわる設定である。通常の上書き保存は「ファイル」メニューから「上書き保存」、またはCtrl+Sキーでおこなうが、そのさいに同時にバックアップ保存ができる仕組みが秀丸にはある。これはいざというときに必要なので、ぜひ設定しておこう。
まず「その他」メニューから「動作環境」を選択し、左側の「設定の対象」の一覧のなかにある「ファイル」の左側の「+」をクリックする。(*)そこで開かれる「保存」を選択すると、「バックアップを作成する場合」の「保存先を指定する」にチェックを入れ、その作成方法としてはプルダウンメニューから「指定フォルダに保存」を選ぶ。また作成場所としてはたとえば「ドライブ名:\秀丸文書BackUp」とでも指定し、そのドライブに同名のフォルダを作成する。あらかじめフォルダを作ってあれば、右側の参照用ボタンをクリックして目的のフォルダを選択すれば、フォルダが特定される。まだフォルダが作成されていなければ、同じボタンをクリックして「新しいフォルダの作成」をクリックしてしかるべき場所に同名のフォルダを作成すればよい。なお、いずれの場合にも「その他」メニュー~「ファイルタイプ別の設定」の「その他」~「保存・読込み」で「バックアップファイルの作成」にチェックを入れておかなければならない。これは原則的にバックアップ保存することにするなら、「ファイルタイプ別の設定」の「共通」設定でこのチェックを入れておいて、他のファイルタイプを設定するさいにこの「共通」設定を利用すればよい(これは後述する)。
さらにこれに関連する重要な設定としては、「ファイル」メニューの「自動保存」を選択し、ラジオボックスのうちから「ファイルを更新する」を選択する。その場合、更新回数をたとえば「5回」とか「10回」とでも設定しておけば、効率よくバックアップ保存ができる。これまでのわたしの経験から、秀丸といえどもなにかのはずみで突然ハングアップすることがあるので、この設定はぜひお奨めしておきたい。こうすることで、更新以前のファイルをいざというときに利用することができるのである。
(*)ここでもこの設定を実現するためには左下の「上級者向け設定」のボックスにチェックを入れておかなければならない。