まだなにも使いはじめられていないのに、ファイル保存環境の話もないだろうと思われるかもしれないが、こうしたベーシックな環境整備をしておくことはあとで効果を発揮することがあるからバカにしてはいけない。
まず「その他」メニューから「動作環境」を選択し、開かれる設定画面で「設定の対象」の「ファイル」の左側に付いている「+」ボタンをクリックして「保存」を選択する。つぎに「バックアップを作成する場合」のなかの「保存先を指定する」にチェックをいれ、「作成方法」としては「指定フォルダに保存」をプルダウンメニューから選択する。さらに「作成場所」としては、すでにバックアップ用のフォルダが準備してある場合はともかく、通常はたとえば「C:\秀丸文書BackUp」とでも入力する。(*)この場合は、「動作環境」設定が終了したあとに、指定したドライブ上に「秀丸文書BackUp」というフォルダを作る必要がある。これは秀丸の自動バックアップをこのフォルダに保存するためである。そのためには同じ「ファイル」設定の下位にある「自動保存」を選択し、「指定フォルダに自動保存する」のラジオボックスにチェックを入れ、さきほどと同じバックアップ用フォルダを選択するか入力する。こうしておけば正常に秀丸が終了したときにはこの一時保存ファイルは自動的に消えるようになっている。
「保存するかどうかの確認」欄では「保存するファイルが空だったとき」と「無題で更新されていて、内容が空のとき」にデフォルトのままチェックをいれておけばいい。
ちなみにわたしのもうひとつの愛用エディタであるQXエディタでも同様の環境を作ることができる。「その他」メニューから「共通設定」を選択すると開かれるダイアログで「分類」項目のなかの「バックアップ」を選択し、「バックアップディレクトリ」にたとえば「\QX文書BackUp」とでも入力する。QXの場合は、ドライブ名は指定できないことになっているので、入力中のデータと同じドライブにバックアップ用フォルダを設定する場合には相対指定するだけでよいのである。
またQXエディタには「2重保存」という優れた機能がある。これはバックアップを別のドライブに同時保存することができる機能であり、まさかのときのためのバックアップになる。たとえばドライブをパーティション分割をしているような場合には、データドライブであるドライブは「C」以外のドライブのはずだから、ここではCドライブにたとえば「QXBackUp」フォルダを作っておいて、このバックアップ用フォルダを「C:\QXBackUp」と設定すればよい。パーティション分割をしていない場合には、外付けハードディスクとか外部メディアに同様のフォルダを作って指定する。ただし、たえずこのメディアを装着しておく必要があるのが面倒かもしれない。バックアップされたファイル名は「QXM-適当な文字列-オリジナルファイル名」となる。また、おもしろいのは同時に「QXMIRROR.LOG」というファイルが作成され、オリジナルのファイル名、コピー先のファイル名、保存時刻などの情報が記録される。これはかなりマニアックな機能である。
また「自動バックアップする」にチェックを入れれば、自動バックアップ機能が作動する。たとえば「1000回以上変更し、30秒間キー入力がないとき」または1回以上変更し、「5分間キー入力がないとき」と指定しておけばよい。(**)なお、「保存したときにバックアップを削除」と「閉じたときにバックアップを削除」のチェックボックスにチェックを入れておかないとファイルが増えてうるさいだろう。
(*)この場合の「C」はデフォルトのCドライブを意味しており、環境によっては、たとえば「8 ドライブのパーティション分割をおこなう」で指摘したように、ドライブのパーティション分割をしているような場合には、本来あるべきデータ保存用ドライブのドライブレターを割り当てるべきである。
(**)ここで「1000回」「30秒」「5分間」といった数字はデフォルトのままなので、自分で好きなように指定してよい。
秀丸エディタのきわめて多機能な性能を十分に引き出すためにはまずもっとも基本的な設定から順を追って構築していくほうがいいだろう。その最初の設定対象が「パフォーマンス」である。この設定はじつは最初にインストールするさいに設定されるものであるが、通常はデフォルト設定になっている。これはパソコンの性能に応じて拡張してもよいものが多い。
「その他」メニューから「動作環境」を選択し、開かれる設定画面で「設定の対象」から「パフォーマンス」をクリックして選択する。デフォルトでは「メモリ使用量」が32MB、「やり直しバッファサイズ」が512KB、「クリップボード履歴」が100KBなどとなっている。最後の「クリップボード履歴」は「常駐機能」のところで「クリップボードの履歴を取る」にチェックが入っており、「秀丸エディタの常駐」にもチェックが入っていることが必要であるが、これはデフォルトでチェックが入っているので、とりあえずはその前提のまま進める。
下の「詳細」ボタンをクリックすると「パフォーマンスの詳細」設定画面が開かれる。「メモリを使用する最大サイズ」では128MBまでが可能なので、メモリに余裕があるならこれを128MBに設定する。「やり直しバッファサイズ」は「やり直し」コマンドのための効力を発揮させるためには最大2048KBまで使えるが、そこまでメモリを使う可能性は低いのでデフォルトのままか1024KBで十分だろう。「クリップボード履歴の履歴バッファのサイズ」は最大999KB(件数は最大100件)まで使える。前述したように、すでにクリップボード・ユーティリティを使用する場合にはこの機能はさほど重要ではないが、この機能を使うなら最大の数値に書き替えておくほうがいい。ほかに「秀丸エディタの瞬間起動」にはチェックを入れておき、リサイクル数を最大の10にしておこう。これは秀丸をいくつも立ち上げる必要があるときに、起動速度を10個までは瞬間的に起動させることができるものである。これに関連して「テンポラリファイルを利用して再オープンの高速化」にもチェックを入れておけば、起動がとにかく早くなる。
これらに類するパフォーマンス設定としては「設定の対象」から「環境」~「編集関係」で「編集可能な最大行数」を100万行ぐらいに設定しておけば十分だろう。最大1000万行が編集可能だが、そこまで使うことはまずないからである。
「14 バックアップ・ソフトは必須:DiskMirroringTool」以降の記述は、パソコンを使った著述・編集にとっては必須のツールであるが、あくまでも周辺的なものにとどまると言ってよい。ここからはいよいよテキストエディタそのものを使ったさまざまなテクニックについて触れていきたい。わたしとしては一番使い慣れている秀丸エディタを中心の記述になることをお許しいただきたい。わたしはすでに2005年9月に『編集者・執筆者のための秀丸エディタ超活用術』(翔泳社)というマニュアル本を刊行しており、さいわいいまでも利用しているひとが多いようだが、秀丸はその後もヴァージョンアップを重ねており、この本でもすべて記述できているわけではない。それに秀丸もふくめてテキストエディタには隠れ機能も多く、すべての機能を熟知しているわけでもないので、ここではあくまでわたしが知っているかぎりのテクニックや小技をTIPS集として披瀝できればいいと考えている。もしわたしの記述に間違いや不足のところがあったら、どしどし指摘していただきたい。テキストエディタ活用術というのは個人のものではなく共有されるべきものだから、知って得をしたと思っていけばいいのである。逆にいえば、「知らないと損をする」のがこれらのTIPS集なのである。
というわけでここではまず秀丸エディタの「動作環境」の設定からはじめることにしたい。これはあらかじめ秀丸全体の動作を決定する基本設定であり、「その他」メニューから「動作環境」を選択することで設定することができる。呼び出された画面左下の「上級者向け設定」にチェックを入れると、より詳細が設定ができるので、これにはチェックを入れておこう。ほかに「その他」メニューからは「ファイルタイプ別の設定」と「キー割り当て」も重要であり、これらも順次、説明していこう。
執筆や編集用にWordやワープロソフトを日常的に使っている著者や編集者は、それらのソフトが印刷用にも便利な機能をもっているために、執筆や編集の結果としての印刷にもこれらのソフトで用が足りると思いこんでいる。これまで何度も指摘してきたように、ワープロソフトというのは、いちおうの体裁を作るところまでは確かにそれなりの完成度をもっている。しかし、これも何度も指摘しているように、出版のために必要なのはテキストファイルであって、印刷特性に優れた機能はあっても、そこで印刷されたワープロ・データがそのまま出版に使えるわけではない。せいぜいのところ、ワープロで作成されたデータはテキスト変換することによって(全部ではないまでも)使うことはできるし、ワープロで印刷されたページは元原稿としての表示というかぎりにおいて意味をもっている。つまり、ワープロソフトのデータをテキスト変換したときに生じる一部の機能の消失(*)を復元するための「オリジナル」という役割をもつだけなのである。またワープロソフトには、テキストデータを編集するには十分な機能をもっていない。その端的な例が「正規表現」を使ったファイル処理ができないという致命的な欠陥があることである。これらについてはここではくわしく述べることはしないが、[出版のためのテキスト実践技法]三部作で記述しているので、興味のある方はそちらをぜひ参考にしてほしい。
さて、それではワープロソフトの印刷機能を使わないとしたら、どういう方法があるのか。ひとつはテキストエディタの印刷機能をそのまま使うことであり、特殊な表記はわたしの提唱する編集タグ付けの方法によって補完することである。QXエディタのように印刷機能にかなり力を入れているテキストエディタはあるし、秀丸エディタにしても秀丸パブリッシャーのようなアドインソフトとの連携によってかなりの印刷環境を整備しているソフトもある。しかし、ここでわたしが推奨するのはWindows専用ではあるが、テキストファイルのためのプリント・ユーティリティとして優れた多機能性をもつWinLPrt(堀田俊哉氏作のシェアウェア)(**)というソフトである。
わたしはこれまで『出版のためのテキスト実践技法/編集篇』の「3-3 仮ゲラの出力による校正作業──WinLPrtによる出力」と『出版のためのテキスト実践技法/総集篇』の「III-6 WinLPrtで仮ゲラを印刷して著者と校正のやりとりをする」でこのプリント・ユーティリティについて言及している。
簡単に言えば、WinLPrtはテキストファイルを独自に設定できる書式に流し込んで印刷するためのプリント・ユーティリティである。書式設定は(たぶん)無限にできるので、必要な書式をあらかじめ作っておけば、所定のテキストファイルを印刷したいかたちですぐにもプリントアウトできるのである。出版のための原稿をテキスト変換して適切な処理をくわえたあと、とりあえず予定の最終組版と同型の書式(ここでは1ページの行数、1行の文字数、1段組か2段組かといった最小限の条件が揃えばよい)に流し込んで印刷する。これを校正のための「仮ゲラ」と呼んでいる。本物のゲラではないので著者とやりとりするための最小限のイメージを伝えることができればよいのである。もちろん「フッター」タブでノンブル(ページ数)を示すこともできるし、「ヘッダー」タブで柱のようなものを設定し、印刷することもできる。
いずれにせよ、問題は体裁にあるのではなく、著者に文字校正をしてもらうための仮ゲラ印刷なのである。印刷所に入れるまえにこの組版が気に入らなければ別の組版(書式)で印刷してみることもできる。また、このプリント・ユーティリティのおもしろいところは、実際にプリンタに接続されていなくても(プリンタがない場合でも)、データを書式に流し込み、プレビューで印刷状態を画面表示することができることである。これによって本の仕上がりのページ数の見当をつけることができる。ページが多すぎたり少なすぎたりするときには、近似した書式もふくめてさまざまな書式にデータを流し込んでページ数のあたりをつけることもできるのである。
WinLPrtの使い方を以下で概説しよう。(このあたりは前出書籍の該当箇所と重複する。くわしくは図版つきのそれぞれの本で確かめられたい。)
まず、WinLPrtを起動すると通常はメインウィンドウが開かれる。設定によって起動画面を選択することができる。WinLPrtの基本設定を変更する場合には、「オプション」メニューから「設定」を選択する。当分はデフォルト設定のままでいいが、「プレビュー」タブで「改行マークを表示する」のチェックを入れておきたい。ツールバーのカスタマイズももちろんできるが、デフォルト設定でとりあえずは十分だ。そのなかの「プリンタ選択」のボックスに現在使用可能なプリンタが示されているので確認する。もしいくつかのプリンタが使用可能で他のプリンタが設定されているなら、プリンタコントロールパネルから必要なプリンタアイコンを選択し、プリンタメニューから「通常使うプリンタに設定」でプリンタを選択しなおす。ツールバーの右端にあるプリンタフォルダのアイコンをクリックしてもこの画面を呼びだすことはできる。
まず「書式」メニューから「書式設定」タブを選択し、開かれたダイアログの「書式情報」タブで書式名、たとえば「9ポ縦組み45字×19行×2頁」を決める(以下では、一般的な設定とこの書式Xを例とした個別の設定を示す)。そのさいに「ベース書式」をプルダウンメニューから選択するが、既存の「A4標準」か「B5標準」を選択する。書式Xでは「B5標準」。このプルダウンメニューにはデフォルトのほかに、自分で設定した書式が選択できるようにもなっている。こうした書式を選択すると、ベース書式自体を変更したときにそれをベースにした書式も変化してしまうので、できればデフォルトのものを使ったほうがいい。ここでダイアログの右下にある「高度」にチェックを入れておくと、より高度な設定が可能となる。
つぎに「用紙」タブで通常はA4かB5を選択する。書式Xでは「B5」。新規書式でベース書式にA4かB5を選択した場合には自動的にその用紙が選択されている。さらに「ページ書式」タブの「段組み」には「なし」か「段組・横」「段組・縦」などがある。ここでの段組とは一般的な上下段組の場合と、見開き2ページを1枚に印刷する場合とに分かれる。一般的な上下2段組の場合は「段組・横」を選択し、「段」を2とし、間隔はたとえば10ミリに指定する。見開き2ページを1枚に印刷する場合は「段組・縦」を選択し、「段」を2とし、間隔はたとえば10ミリに指定すればよい。書式Xでは見開き2段組=2頁になるように設定する。また「余白」タブでおおまかな余白の大きさを設定する。「行桁数」タブから「ピッチ指定」か「行桁指定」を選んで必要な字数と行数を確定する。「ピッチ指定」にすると字間を一定にすることができ、行間を指定することで1ページの行数を決定することができる。そのさい「ページ書式」タブでの余白のとりかたとのかねあいで1行の字数が変動する。書式Xでは「ピッチ指定」を選択し、字間は0.97に、行間は1.55に設定している。
さらにここが肝腎なのだが、「行書式」タブで「タブ文字を印刷する」「罫線文字をつなげる」「半角空白文字を印刷する」「全角空白文字を印刷する」「改行マークを印刷する」「和英字間空け」「和数間空け」にチェックを入れる。こうしておくと、印刷された仮ゲラのスペース(全角、半角)やタブ、改行マークなどが特定の記号で印字されるので、その所在が正確に把握できる。これは若干汚く見えるが、校正段階においては必須の確認事項となる。また和文と欧文や数字とがくっつきすぎることも避けられる。これは本ゲラにおいても自動的に実行されるようにすることができるので、校正時に著者にも見やすいかたちで仮ゲラを提示することになる。
さらに「テキスト処理」タブで「指定文字列により改頁する」のボックスにチェックを入れ、文字列を「/*改頁*/\n」とする。これは一般的にコメント行としてルール化されている表記法で、これが行頭に入っている箇所にくると自動的に改ページされる。なお、「改頁文字列を印刷しない」のボックスにチェックを入れておくと、この「/*改頁*/\n」は印刷されずに、1行分の改行マークが入る。章の切れ目などには必要な措置である。
また「見出し行」タブでは特定の行(見出し行)をマークすることによってその行の書体とポイント数を変更することができる。特定の書類で見出し行のスタイルを別に見せたいときには有効だが、仮ゲラ印刷のためには不要であるので省略する。
つぎに「禁則」タブでは「禁則種別」のプルダウンメニューから「なし」「追い出し+ぶら下がり」「追い出し+行末揃え」のなかから好みのものを選択する(ちなみにわたしは「追い出し+ぶら下がり」)。「禁則文字数」は1文字でいい。「指定した禁則文字を使用する」もデフォルトでいいだろう。英語禁則のブロックでは「ワードラップ」「数字も単語の一部とみなす」「ジャスティフィケーション」「先頭の空白、タブは除外する」「空白が少ない時は文字間も広げる」のボックスにチェックを入れる。こうしておけば欧文の見た目をよくすることができる。
「ヘッダー」タブと「フッター」タブではそれぞれ「ヘッダーを印刷する」「フッターを印刷する」にチェックを入れ、「左」「中央」「右」の好みの位置を選択し、入れるべき文字をそれぞれの右に付いている三角印から選択する。基本はヘッダー(柱)にはファイル名を、フッター(ノンブル)にはページ数をそれぞれ全角か半角で選択する。本文との間隔は3ミリ程度。ヘッダー、フッターはそれぞれ「別フォント指定」をチェックして「フォント」ボタンをクリックすればインストールされているフォントのなかからフォント名、スタイル(レギュラー、イタリック、ボールド、ボールドイタリック)、サイズを選択できる。こうすればあたかもゲラのように柱とノンブルがそれぞれ見開きページに1箇所ずつだが印刷される。ちなみにわたしはヘッダーには@DF細丸ゴチック、レギュラー、7pを、フッターにはGaramond、レギュラー、7pを指定している。「ヘッダー・フッター共通」タブでは、「偶数ページ」を「何もしない」「左右を入れ替える」などがある。後者にすると、ヘッダーを左にもっていったときなど、偶数ページでは右に移動させることができる。「ページ書式」で左右の幅を変えているときには、偶数ページのときには逆にすることができ、ノド寄せなどをしたいときには便利である。
そして「フォント」タブでは本文印刷用の英字フォント、漢字(日本語)フォントをそれぞれスタイルとサイズとともに選択することができる。このさい漢字フォントはプルダウンメニューから選択するが、縦組みの場合は「@」の付いたものを選択しなければならない。これは縦組用フォントだからである。ちなみにわたしの場合、英字フォントはGaramond、レギュラー、9pを、漢字(日本語)フォントは@DF平成明朝体W3、レギュラー、9pを指定することが多い。
これでWinLPrtの基本的な設定方法については説明したが、あとは各自がいろいろ試してもらうしかない。字間・行間の設定は用紙、余白、段間、ヘッダー・フッターとの間隔などと相互関係にあるので、最終的な形がバランスよく決まるまでは何度でも微調整してみるほうがいい。美しい仮ゲラができると仕事も気持ちよく進められるからである。
なお、印刷するときは書式をプルダウンメニューから選択し、右側のファイル一覧から印刷したいテキストファイル(フォルダは不可)を選択する。つぎにツールバーのプリンタアイコンをクリックすればすぐ印刷する。長いファイルや一部印刷したいときには、プレビューボタンをクリックしてからプリンタアイコンをクリックすると、印刷範囲として「全ページ」「現在のページ」「指定範囲」や印刷部数を選択することができるので、通常はプレビューボタンを押して印刷画面を確認してから印刷するようにしたい。
(*)Wordなどで作成されたデータをテキスト変換する場合には、ルビ(ふりがな)や傍点というソフトに特有の機能、欧文特殊文字(アクサンやウムラウトなど)という特殊表記は無視されるため、消失してしまう。とくにWordのルビは親文字ごと消失するという致命的な欠陥がある。また行頭の一字下げは、多くの場合、自動インデント機能などのまやかしによって消えてしまい、行頭天付き改行になってしまう。その他、それぞれのワープロソフトごとに特有な設定(これをローカルな機能と呼ぶ)によって作られたデータは、ソフトに依存する特殊なデータ(これをテキストファイルに対して「バイナリ・データ」と呼ぶ)にすぎないから、テキストファイルのような汎用性をもつことができないのである。
(**)このユーティリティは堀田氏のホームページ(http://www.htosh.com/)からダウンロードできる。シェアウェアといってもこの機能で2205円は超格安。ただ、最近はいろいろな操作を繰り返すとフリーズしやすくなったのは問題で、これはたぶん作業領域の容量設定のためではないかと思われる。改善をお願いしたい。