つぎにこれも「3 目次は本の設計図である」で一部紹介したが、ドイツ語、フランス語、ギリシア語、その他の言語の特殊表記がある。翻訳書や研究書などには外国語表記のあるものが多い。英語以外のものはコンピュータの世界ではローカル言語とされるので、それらの言語の特殊文字は通常は互換性がない。ワープロなどでは環境設定をすればなんとか表記できるものもあるが、そうしたデータをテキストファイル化するととたんに消えてしまう。この場合、すべて消えてしまうわけでもないことが多く、それに近い文字に置き換えられるのがふつうだ。フランス語のアクサン(アクセント記号)やドイツ語のウムラウトはふつうのアルファベットにアクセント記号が付されているのが外れてしまうだけである。
わたしが一般的に使用している特殊文字のテキスト指定は以下のようなものである。これ以外のものは必要に応じて設定する。
(フランス語)
アクサンテギュ(文字の上部に右上から左下にかけて斜めの線が入るもの)→e+'/a+'/o+'/y+'/E+'など(l'、s'などの子音との組合せのときは通常のアポストロフィとして使用)
アクサングラーヴ(文字の上部に左上から右下にかけて斜めの線が入るもの)→a`/e`など
アクサンシルコンフレックス(文字の上部にキャレット「^」があるもの)→a^/i^/u^/e^/o^など
セーセディーユ(Cまたはcの下部にヒゲが付く)→C&/c&
リガチャー(合字)→o+e/a+e/O+E/A+Eなど(フランス語だけではない)
ギュメ(フランス語特有の小さい引用符)→【<<】......【>>】で指定。
なお、【 】は一般に特定の指定をするものであるが、多様な使い方をするので、組み指定書にそれぞれの意味を明記する必要がある。
(ドイツ語)
ウムラウト(文字の上部にトレマが付く)→a``/i``/u``/e``/o``/A``/O``など(フランス語にもある)
エスツェット(大文字のBを変形したもの)→B&
ドイツ語特有の引用符(始まりが下付右よりの「"」「,」、終りが上付き左よりの「"」「'」)→【"】......【"】、【,】......【'】で指定。
(その他)
ギリシャ語、ラテン語長音文字→e ̄/i ̄など
半角ダブルクウォート「"」および半角シングルクウォート「'」→開き用はそのまま「"」と「'」で、閉じ用に「/"」と「/'」で指定。なお、ここでこれらはすべて半角なので、欧文と同じように開きの「"」および「'」の前には半角スペースを、閉じの「/"」および「/'」の後ろにも半角スペースを入れる必要がある。ただし前後に全角の句読点、カッコ類がある場合はこの限りでない。必要なアキはすでにこれらの文字に含まれているからである。