II-4 村山淳彦さんの退官祝い

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 きのうは村山淳彦さんの昨年11月に未來社より刊行された『エドガー・アラン・ポーの復讐』の出版記念会をかねた東洋大学退官のお祝いの会が市ヶ谷アルカディアで開かれた。70歳になった村山さんはこれからは悠々自適とのこと。思えば一橋大学時代から四半世紀以上にわたるおつきあいだったことになる。
 わたしもスピーチを頼まれていたので、村山さんの5冊の翻訳と最後の著書を刊行させてもらったお礼を述べるとともに、村山さんの特徴づけとして3点あげさせてもらった。これは言わずもがなだろうが誰もが知る村山さんの実力は別として、ひとつめは「謙虚」。『エドガー・アラン・ポーの復讐』の「まえがき」の冒頭部分が典型的なので、それを読み上げさせてもらった。つづいて「仕事の早さ」。わたしは催促したことがない。というか、いつもすでに原稿はできていたのだった。ただし、こんどの著書はわたしが「背を押した」ことにされていて、それは最後の村山さんの挨拶で触れられたことだが、わたしが村山さんに翻訳ばかりでなくて著書を出さなければいけない、と言っていたことを指していることがわかった。そう言えば、そんなことを言った気がする。失礼な話だよね。最後は「コンピュータに強いこと」。なにしろ1990年に刊行した最初の訳書レイモンド・タリス『アンチ・ソシュール』の原稿を一太郎のデータ原稿で受け取ったのは、わたしとしても初めてのデータ入稿だったので、印象に強く残っている。その後もわたしの[出版のためのテキスト実践技法]を学習してくれた編集タグ付き原稿データをもらうこともあった。
 いろいろなひとの話を聞いていて、村山さんの面倒見のいいこととともに、けっこう天の邪鬼だったということもわかって、ほほえましかった。当人は思いっきりシャイだと言うが、親しいひとにはけっこう辛辣なところもあったらしい。ともあれ、そういう村山淳彦さんがこれからはやりたいことをやるという身分になられたことは慶賀すべきことなのだろう。また仕事をいっしょにさせてもらう機会があればうれしいのだが。(2015/3/29)

 *この文章は「西谷の本音でトーク」ブログに書いたものを若干の加筆・改稿したものです。

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未来の窓 1997-2011

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