7 出版ビジネススクールセミナーのご案内

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 来年の1月26日(木)夜、「出版ビジネススクールセミナー:未來社60周年記念講演/出版文化再生 出版とは闘争である――あらためて本の力を考える」でわたしのセミナーが開かれます。会場は岩波セミナールーム。これは出版研究センターの林幸男さんが主催するセミナーでわたしもこれまで三回ほど出演させてもらったことがあります。今回はわたしがこのほど刊行した『出版文化再生――あらためて本の力を考える』(未來社)をきっかけにこの本に因んだタイトルの講演をさせてもらうことになりました。以下はその案内用チラシのためにわたしが作成した文章の素案です。ご関心をもっていただける方はどうぞいらしてください。ご連絡は出版研究センター(03-3234-7623)へ。
《ご参加のすすめ》
 未來社は2011年11月11日、創立60周年を迎えました。それにあわせて社史『ある軌跡――未來社60年の記録』を20年ぶりに作成するとともに、わたしがPR誌「未来」で1997年3月号以来176回にわたって書きつづけてきた出版コラム[未来の窓]を再編集して『出版文化再生――あらためて本の力を考える』という本にまとめました。後者は最近15年間の未來社の歴史であるとともに、最近の出版業界のかかえてきた諸問題へのわたしなりの批評的総括でもあります。
 東日本大震災と原発事故以来、出版界はこれまで以上に厳しい局面を迎えております。すこし前の電子書籍騒動も依然として不透明で、出版界の先行きはいっこうにはっきりした展望をもつことができていません。
 こうしたなかで昨今、出版業界で問題にされはじめた〈本の力〉とは何かについて、あらためて考えてみたいというのが今回のテーマです。紙の本がもつ魅力とは何か。電子書籍と比較して何がどう違うのか。ここが一番肝腎だと思いますが、このあたりをともに考えていきたいと思います。
《レジュメ》
*出版不況がつづいていますが、この原因はどこにあるのでしょうか。日本の出版界がもつ構造的な問題。経済不況。情報環境の変化による本離れ。電子書籍問題。その他。
*出版界の問題が議論されるときに、業界紙などをはじめとしていつも流通問題、売上げと利益の問題に一面化されて、出版が本来もっとも担うべき文化創造の問題が話題になることがあまりありません。出版人は概して出版文化について語ることを避ける傾向があります。これはどうしてでしょうか。
*出版とは闘争である、とわたしの本のオビにありますが、この闘争の対象はどんなものでしょうか。『出版文化再生』のなかでは具体的にいくつか挙げています。消費税率変更と再販制問題、学術書出版をめぐる出版社、編集者のありかた、社会的・政治的な争点をもつような出版物をめぐる「公共性」批判とマスメディアの対応、などです。
*総じて出版物は体制的な社会や政治に迎合する現状肯定のためではなく、よりよき未来を見据えた批評的・改革的な視点から書かれたものであるべきであり、出版社はそうした視点から書かれた出版物を提供していく立場をとるべきです。こういう出版物は広く受け入れられるものではないのが通常で、出版社は経営的にはけっして楽ではないことは確かですが、だからこそそうした出版物を断固として刊行し、それをすこしでも広めていくような努力をすることがわたしのいう〈闘争〉なのです。この講演会自体、話を聞いていただくこと自体がわたしの闘争の一環でもあるのです。(2011/12/18)

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未来の窓 1997-2011

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